商品コラム
農業資材
ⅠPM【総合的病害虫管理】とは。
みなさんこんにちは。
もう2021年も終わってしまうなぁと感じているアグリ事業部ながはらです。
今回は農業分野でよく耳にすることば、「 I P M 」についてお話しようかと思います。
「 I P M 」とは。
IPMは簡単に言えば、
病害虫の防除に対して、利用可能な全ての防除技術を利用し、経済性を考慮しつつ、適切な手段を総合的に行う防除手法のことです。
もちろん、IPMはコスト面など考えなければならない問題もありますが、
農薬使用量の削減や農薬散布に費やす手間や時間の削減といったメリットがあるのも確かです。
IPMといっても実は大きく4つの防除方法に分かれています。
これらは優劣があるわけではなく、4つを用いることでより優れた防除に繋がります。
1.生物的防除
天敵農薬(チリカブリダニ等)の利用、また天敵が活動しやすい環境の保全など、
生物農薬等を用いて害虫を駆除したり病害を防いだりする方法です。
2.物理的防除
防虫ネットや粘着シート、また熱・光・水など、物理的な『障壁』を用いて病害虫の侵入や抑制、雑草の発生を抑える方法です。
3.化学的防除
化学合成農薬を効果的に活用し、病害虫や雑草の発生を抑える方法です。
特定の害虫や雑草に効果があり、天敵農薬や微生物にやさしい農薬を利用することで農薬の使用も最低限に抑えることが可能です。
4.耕種的防除
栽培管理面からの作業を通じ、病害虫や雑草の発生を抑える方法です。
圃場の衛生を管理したり、病気や虫の被害を受けにくい品種を利用するといった基礎的な部分が含まれます。
小泉製麻のIPM資材
前項でIPMには4つの防除方法があると説明しました。
その中で小泉製麻が主に取り組んでいるのは「生物的防除」と「物理的防除」です。
何点かオススメ商品を紹介していきます。
天敵製剤(チリカブリダニ)
まずは『生物防除』から。
「チリカ・ワーカー🄬」はチリカブリダニという、減農薬を目指す栽培に適した生物農薬です。
チリカブリダニは害虫ハダニの防除に優れた効果を発揮します。
ハダニは繁殖力が高く、対策を遅れるとあっという間に増殖します。
ハダニにより栄養素を葉から吸われた苗は生育が悪くなり、収穫量が減ってしまいます。
さらにハダニは糸を吐き出す習性があるので、蜘蛛の巣状の糸を葉に張り、糸により最悪その苗がが枯れる可能性まであります。
イチゴハウス内ではハダニが多く発生しますが、チリカブリダニは害虫のハダニだけを食べます。
イチゴの実やハウス内の環境・人畜に対する毒性はなく、化学農薬の使用量を削減することができます。
「減農薬の、より安全で安心なものを食べてもらいたい」と考える生産者さんのお手伝いとなり、導入される方も増えています。
害虫忌避シート
害虫忌避シート「虫フラッとシート」は紫外線域を含んだ光を高拡散反射し、アザミウマやコナジラミなどの微小害虫の『飛行錯乱』を誘発さる物理的防除です。
ハウス周囲にシートを設置し、飛行している微小害虫の落下を促すことでハウス内への侵入を防ぐことを目的に開発されました。
虫は背中や首周りで太陽光(紫外線)を感知しつつ、上下(天地)を理解し飛行しています。
ですが、本来は上方向から認識している紫外線を「虫フラッとシート」の反射により下から認識してしまうことで、
上下が分からなくなり結果まっすぐ水平に飛べず落ちてしまうのです。
これが『飛行錯乱』のメカニズムです。
当商品の開発過程では、全国14カ所で様々な作物で試験を実施し、すべての試験区で50%以上の忌避効果を確認できました。
実際に使用いただいた方からは、「いつもは害虫が多いハウスで、シートを設置しなかったハウスは例年と変わらなかったが、シートを設置したハウスでは害虫の発生が少なかった」というお声も。
UV-Bランプとの併用でより高いハダニ防除も見込めます。
防虫ネット
防虫ネットはハウスサイドに設置し、虫の侵入を防ぎます。
当社の防虫ネットラインナップの中でも、「虫フラッとネット」は前出の「虫フラッとシート」と同じ仕組みの防虫ネットです。
ネットを構成する糸が紫外線を反射し、害虫の『飛行錯乱』を誘発しハウス内への侵入を抑制する『害虫忌避効果』があります。
そして、赤外線領域の反射により通常の防虫ネットよりも熱を通しにくい『遮熱効果』があります。
「虫フラッとシート」をハウス周りに、「虫フラッとネット」をハウスサイドに、セットで使っていただけます。
セット利用により、「虫フラッとシート」で防ぎきれなかった害虫を、「虫フラッとネット」でさらに防ぎ、より高い害虫忌避効果が期待できます。
防草シート
「虫フラッとネット」のように直接的に害虫防除を行う資材もありますが、間接的に防除するものもあります。
それが防草シートです。
ハウス周辺に雑草が多ければ害虫はそこに集まりやすくなります。
予防策として周辺の雑草を管理すすることで害虫が集まりにくい環境を作ることにつながります。
小泉製麻では農業用防草シート「ルンルンシート」というランナップをそろえております。
粘着シート
粘着シートはハウスの出入り口や虫が多く侵入してくる箇所に設置し、飛び交う害虫を捕虫します。
捕虫目的以外にも、害虫の発生状況をモニタリングする目的でも使用されます。
発生初期段階で害虫の種類や発生タイミングを知ること(モニタリング)が適切な対応に繋がります。
当社の「虫ペタッと大判粘着シート」は通常サイズ約40枚分。
特大サイズでダイナミックに捕虫します。
まとめ
付加価値が高い資材を導入するにはコストもかかりますし、IPMの実践には時間がかかるかもしれません。
ですが、農薬使用量の削減・それによる農薬散布の手間削減により、他の作業に時間を費やすことができるなど、
生産者さんにとってのメリットはたくさんあります。
「農薬の効かない抵抗性害虫」が増えてきて困っているといった声も、生産者さんからよく聞きます。
このコラムでご紹介させていただいたIPM資材をご使用いただくことで、IPMの実践のお役に立ちたいと思っています。